【基本】角の二等分線の作図

ここでは、角の二等分線の作図方法を見ていきます。

角の二等分線

角の二等分線とは、次の図の青線のように、1つの角を二等分する半直線(または、直線)のことです。

上の図では、AOP=BOP\angle \mathrm{ AOP }=\angle \mathrm{ BOP } なので、直線 OP\mathrm{OP} は、 AOB\angle \mathrm{ AOB } の二等分線である、といいます。どちらの角も AOB\angle \mathrm{ AOB } の半分なので、文字を使った数式のようにAOP=BOP=12AOB \angle \mathrm{ AOP }=\angle \mathrm{ BOP }=\frac{1}{2}\angle \mathrm{ AOB } と表すこともあります。

角の二等分線について、最も典型的な作図の問題は、ある角が与えられたときに、「この角の二等分線を作図しなさい」というものです。上の図で言えば、半直線 OA,OB\mathrm{OA, OB} が与えられたときに、半直線 OP\mathrm{OP} を作図する、ということです。 O\mathrm{O} の場所はわかっているので、角の二等分線上の点のどれかの場所がわかればいいですね。つまり、点 P\mathrm{P} が作図できればいいです。

見方を変えると、上の図は、角の二等分線を軸として線対称である、と考えることもできます。OP\mathrm{OP} で折れば、半直線 OA\mathrm{OA} と 半直線 OB\mathrm{OB} が重なるからですね。そこで、線対称な図形を利用することにします。

作図では、定規とコンパスしか使えないのでした。垂線の作図(参考:その1その2)では、コンパスでかいた2つの円をかき、これが線対称であることを利用していました。利用していたのは、次の図です。

この図では、直線 AB\mathrm{AB} で折り返せば、2点 P,Q\mathrm{P, Q} が重なるので、 ABPQ\mathrm{ AB }\perp \mathrm{ PQ } となります。このことを用いて、垂線をかいたのでしたね。

角の二等分線でも、この図を利用することができます。角とその二等分線がどのように表れているか、そして、どう作図すればいいかを考えてみましょう。

角の二等分線の作図方法

先ほどの線対称な図をもう一度見てみましょう。

この図で、直線 AB\mathrm{AB} が線対称の軸です。 PAQ\angle \mathrm{ PAQ } を見れば、直線 AB\mathrm{AB} によって、二等分されることがわかります。これを利用して、角の二等分線を作図してみましょう。この図を次のように回転すれば、点や円がどのように対応しているかわかると思います。

いくつか不要な線を消したり、線を伸ばしたりしています。これを参考にしながら、角の二等分線の作図方法を見ていきます。

次の図で、 AOB\angle \mathrm{ AOB } の二等分線を作図します。

参考図と比較すると、点 O\mathrm{O} が左側の円の中心で、角の二等分線が線対称の軸に対応しています。参考図の点 P\mathrm{P} の場所がわかればいいわけですね。

そこで、まず、左側の円をかくことにしましょう。点 O\mathrm{O} を中心とし、半径は何でもいいので、次のようにかきます。

OA,OB\mathrm{OA, OB} とそれぞれ1点ずつ交わります。交わればいいので、円の一部だけをかけば十分です。

この2点が、参考図での2円の交点に対応していると考えます。後は、右側の円の中心がどこかがわかればいいですね。これは、「2つの交点から同じ距離だけ離れている」と考えれば、それぞれの交点を中心とする円をかけばいいことがわかります。

これも、交点がわかればいいので、円の一部だけをかきます。

あとは、この交点と点 O\mathrm{O} を結んでおしまいです。

この方法でどうしてうまくいくのか、点に名前をつけて、もう少し考えてみましょう。

O\mathrm{O} を中心とした円をかいて、それと半直線 OA\mathrm{OA} との交点を C\mathrm{C}、半直線 OB\mathrm{OB} との交点を D\mathrm{D} とすると、 CDO\triangle \mathrm{ CDO } は二等辺三角形となります。さらに、点 C,D\mathrm{C, D} から同じ半径の円をかいて交点を P\mathrm{P} とすれば、 CDP\triangle \mathrm{ CDP } も二等辺三角形です。

そのため、四角形 OCPD\mathrm{OCPD} は、直線 OP\mathrm{OP} について線対称であることがわかります。直線 OP\mathrm{OP} で折ると、ぴったり重なるからですね。こうして、 COP=DOP\angle \mathrm{ COP } = \angle \mathrm{ DOP } であること、つまり、直線 OP\mathrm{OP}AOB\angle \mathrm{ AOB } の二等分線であることがわかります。

最後に、「AOB\angle \mathrm{ AOB } の二等分線」のかきかたをまとめておきましょう。

  1. STEP.1
    Oを中心とする円をかく
    O\mathrm{O} を中心として、 OA\mathrm{OA}, OB\mathrm{OB} と交わる円をかく
  2. STEP.2
    交点からの距離が等しい点を作図する
    2つの交点を中心とし、同じ半径の円をかいて、交点を作る
  3. STEP.3
    直線で結ぶ
    先ほどの交点と点 O\mathrm{O} とを結ぶ

Step2では、同じ半径を使う必要があります。そうしないと、OP\mathrm{OP} が対称の軸になりません。一方、Step1とStep2では、同じ半径を使う必要はありません。ただ、コンパスの開き具合をわざわざ変えなくてもいいので、同じ半径を使うことが多いです。

おわりに

ここでは、角の二等分線の説明と、その作図方法を見てきました。線対称の軸を作図する、という考え方で、円を2つ用いた線対称な図形を利用しました。他にも作図方法はあるので、いろいろ試してみると発見できるかもしれません。

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