【基本】正負の数の四則の混じった計算

ここでは、正の数や負の数の四則演算を振り返った後、これらが混じった計算の仕方について見ていきます。

正負の数の四則演算の復習

別のページで、正の数や負の数の計算について見てきました。それぞれ、計算方法を振り返っておきましょう。

まず、足し算です。足し算は加法ともいい、足し算の結果を和というのでした。【基本】正負の数の加法でも見た通り、

 同符号の和は、絶対値の和に、共通の符号をつけた数

 異符号の和は、絶対値の大きい方から小さい方を引き、絶対値が大きい方の符号をつけた数

となるのでした。ちなみに、絶対値とは、【基本】絶対値と数と大小で見た通り、数直線上での、原点からの距離のことです。


次に、引き算です。引き算は減法ともいい、引き算の結果を差というのでした。【基本】正負の数の減法と加法の関係で見たように、

 ある数を引くことは、その数の符号を変えて足すことと同じ

なので、足し算に帰着させて計算することができます。


続いて、掛け算。掛け算は乗法ともいい、掛け算の結果を積というのでした。【基本】正負の数の乗法(移動で考える)で見たように、

 同符号の数の積は、絶対値の積に正の符号をつけたもの

 異符号の数の積は、絶対値の積に負の符号をつけたもの

と計算できます。


最後に、割り算です。割り算は除法ともいい、割り算の結果を商というのでした。割り算は、【基本】正負の数の除法と乗法の関係で見たように、

 ある数で割ることは、その数の逆数を掛けることと同じ

なので、掛け算に帰着させて計算することができます。なお、逆数というのは、掛けて 11 となる数のことです。

これら4つの計算、つまり、加法、減法、乗法、除法をまとめて、四則(しそく)や四則演算(four arithmetic operations) といいます。それぞれの1文字目をとって、加減乗除ということもあります。

正負の数の四則の混じった計算

先ほどの振り返りでは、2つの数の計算を想定していますが、これらが混じった計算をすることもあります。一部は算数でも出てきた内容ですが、四則の混じった計算で、どこから計算していくかを見ていきます。

基本的には、計算は左から順番にしていきます。ただ、足し算・引き算よりも、掛け算・割り算のほうを先に計算します。さらに、累乗があれば、累乗を先に計算します。また、カッコがあって、カッコの中が計算できる場合は、そちらを先に計算します。これらは、なぜそうなるか、と考えるものではなく、計算上のルールとしてこう決まっている、というものです。

少し例を見てみましょう。

(6)+(3)×(2)3 (-6)+(-3)\times(-2)^3 を考えてみます。式全体を見てみると、累乗があるので、まず累乗を計算して(6)+(3)×(8) (-6)+(-3)\times(-8) と計算します。続いて、式全体を見ると、掛け算があるので、右側の掛け算を計算して(6)+24 (-6)+24 となります。これを計算して、 18-18 というのが答えになります。

続いて(3)223÷(15) (-3)^2-2^3\div(1-5) を考えてみましょう。カッコの中を先に計算して、(3)223÷(4) (-3)^2-2^3\div (-4) となります。累乗を計算して98÷(4) 9-8\div(-4) となります。 23-2^3 は、 22 を3個掛けたものにマイナスがついたもの、であることに注意しましょう。次に、割り算を計算して9+2 9+2 となり、答えは 1111 であることがわかります。

最後に、少し複雑ですが、次の計算を考えてみましょう。{(1)25×(22)}÷(251)2 \{ (-1)^2-5\times(-2^2) \}\div \left(\frac{2}{5}-1\right)^2 前半の波かっこの中は、今の時点では計算できないので、とりあえずおいておきます。後半のカッコの中は、251=255=35 \dfrac{2}{5}-1=\dfrac{2-5}{5}=-\dfrac{3}{5} と計算できます。なので、今の時点では{(1)25×(22)}÷(35)2 \{ (-1)^2-5\times(-2^2) \}\div \left(-\frac{3}{5}\right)^2 となります。

次に、累乗を計算しましょう。 (1)2(-1)^2 は、 (1)(-1) を2回掛けたものなので、 11 です。次の (22)(-2^2) は、 22 を2回掛けたものにマイナスをつけたものなので、 4-4 です。 +4+4 ではない点に注意しましょう。最後の累乗は、 35-\dfrac{3}{5} を2回掛けて、 925\dfrac{9}{25} となることがわかります。以上から、累乗の部分を全部計算すると、次のようになります。{15×(4)}÷925 \{ 1-5\times(-4) \}\div \frac{9}{25} 次に、波かっこの中を計算します。掛け算のほうを先に計算して
{15×(4)}÷925=(1+20)÷925=21×259=1753\begin{align*} & \{ 1-5\times(-4) \}\div \frac{9}{25} \\[5pt] =& ( 1+20 )\div \frac{9}{25} \\[5pt] =& 21\times \frac{25}{9} \\[5pt] =& \frac{175}{3} \\[5pt] \end{align*}となります。これが答えです。

おわりに

ここでは、正の数・負の数の四則演算を振り返った後に、四則の混じった計算方法を見ました。カッコ、累乗、掛け算割り算、足し算引き算、という順番で地道に計算していくと答えが導けます。

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