【基本】一次方程式の解き方
ここでは、等式の性質を使って、一次方程式の解き方を見ていきます。
等式の性質の復習
【基本】方程式と等式の性質では、5つの「等式の性質」を見ました。まとめておきましょう。いずれも、つりあっている天秤やシーソーを思い浮かべれば、成り立つことがわかるでしょう。
1つ目と2つ目は、「等式の両辺に同じ数や式を加えたり引いたりしても、等式は成り立つ」という内容です。式で書くと、次のようになります。
ならば、 が成り立つ
ならば、 が成り立つ
3つ目は、「等式の両辺に同じ数を掛けても、等式は成り立つ」という内容です。式で書くと、次のようになります。
ならば、 が成り立つ
4つ目は、「等式の両辺を0以外の同じ数で割っても、等式は成り立つ」という内容です。式で書くと、次のようになります。
ならば、 に対して が成り立つ
最後の、5つ目は、「等式の両辺を入れ替えても、等式は成り立つ」という内容です。式では次のようになります。
ならば、 が成り立つ
1つ目から4つ目は、両辺が等しいのだから、両辺に同じ操作をすれば、結果も等しくなる、ということですね。釣り合っている天秤に対して、同じ重さを足したり引いたりしても釣り合ったままだし、のせているものを2倍にしたり半分にしても釣り合ったまま、というのは理解できると思います。5つ目も、天秤の両側を入れ替えると考えれば、成り立つことがわかるでしょう。
移行
先ほど見た等式の性質を使って、方程式を解いてみましょう。上のリンク先でも考えたについて見てみます。最終的に、 が何かを知りたいので、左辺の と が邪魔ですね。まず、 を両辺から引くと、となり、両辺をそれぞれ計算するととなります。さらに、 で両辺を割ればとなり、方程式の解を求めることができます。 に を代入すれば等式が成り立つことから、たしかに が解であることがわかります。
この解き方のうち、 を引いた箇所について見てみましょう。元の方程式 の両辺から を引きましたが、そのとき、左辺は だけになります。左辺の が邪魔なので、これを引いたわけですからね。また、右辺も同じように を引かないといけません。右辺だけ を残した形にすると、となります。これともとの式とを、次のように並べて見比べてみましょう。
左辺にあった が、符号を変えて右辺に登場していることがわかるでしょう。
このように、等式の一方の辺にある項は、符号を変えてもう片方の辺に移すことができます。このことを、移行(いこう)といいます。
一次方程式の解き方
先ほど、移行の説明をしました。大げさな名前がついていますが、やっていることは単純です。等式の性質を使って、同じ数を加えたり引いたりしているだけです。例えば、次の方程式を考えてみましょう。最終的に、 が何かを知りたいので、「 答え」という形に変形していくことになります。
すると、まず、右辺の を左辺に持ってきたいですね。そのため、両辺に を足せばいいのですが、そうすると、右辺の は消え、左辺に があらわれます。こうして、となります。右辺にあった が、符号を変えて反対側の左辺に登場した、と見えますね。 を移行したわけですが、実際には、両辺に を足しているだけです。
さらに、左辺の も邪魔です。両辺に を足すと考えてもいいし、左辺の を移行すると考えてもいいですが、変形すると次のようになります。両辺はそれぞれ計算できるので、
となります。これが答えです。
計算が合っているかを確かめるには、実際に、 をもとの方程式に代入して、等式が成り立つことを確認します。 も も、ともに なので、たしかに等式が成り立つことがわかります。このようにして検算ができます。
一次方程式は、このように、まず左辺に文字を含む項をまとめ、右辺に数字だけの項をまとめます。そうして、 の形にして、両辺を の係数 で割ると、 という解が得られます。このようにして、一次方程式を解いていきます。
例題
(1)
(2)
(1)は、 を左辺に移行して計算します。
となります。2行目は、1行目の を移行した結果です。1行目の両辺に を足した結果と考えてもいいです。4行目は3行目の両辺を で割った結果です。
(2)は、 の移行と の移行を同時に行います。
となります。2行目は、1行目の移行をした結果です。1行目の両辺に、 を足し、 を引いた結果と考えてもいいです。4行目は3行目の両辺に を掛けた結果です。
このように、両辺に同じ数や式を足したり引いたり、数を掛けたり割ったりして変形していくことで、方程式を解くことができます。
おわりに
ここでは、等式の性質の復習をした後、移行の説明をしました。そして、一次方程式を解く方法を見てきました。複雑な計算を行うものもありますが、基本的な流れはここで見た内容の応用となります。