【標準】一次方程式の解き方

ここでは、少し複雑な一次方程式を解く方法を見ていきます。

カッコを含む方程式

【基本】一次方程式の解き方で見たように、一次方程式を解くには、両辺に同じ数や式を足したり引いたり、同じ数を掛けたり割ったりして、変形していきます。ただ、カッコを含む方程式の場合は、まずはカッコをはずして計算をします。2(x4)+3=5 2(x-4)+3=5 を解いてみます。カッコをはずさずに解くこともできますが、まずは外して解く方法を見てみましょう。
2(x4)+3=52x8+3=52x5=52x=5+5x=5\begin{align*} 2(x-4)+3 &= 5 \\[5pt] 2x-8+3 &= 5 \\[5pt] 2x-5 &= 5 \\[5pt] 2x &= 5+5 \\[5pt] x &= 5 \\[5pt] \end{align*}となります。1行目から3行目にかけて、カッコをはずして左辺を計算しています。その後は、移行して両辺を 22 で割り、 xx を求めています。

基本的にはカッコをはずして変形していくのですが、次のような変形をすることも可能です。
2(x4)+3=52(x4)=53x4=2÷2x=1+4=5\begin{align*} 2(x-4)+3 &= 5 \\[5pt] 2(x-4) &= 5-3 \\[5pt] x-4 &= 2\div 2 \\[5pt] x &= 1+4 \\[5pt] &= 5 \\[5pt] \end{align*}1行目から2行目は、 33 を移行しています。2行目から3行目は、両辺を 22 で割り、3行目から4行目は 4-4 を移行しています。このようにして、カッコをはずさずに解くこともできますが、カッコが複数ある場合など、逆に計算が面倒になることもあるので、カッコをはずしてから計算するようにしたほうがいいでしょう。

小数を含む方程式

次のような、係数に小数を含む場合を考えてみましょう。係数とは、文字に掛かっている数字のことです。0.2x+0.5=0.1x0.4 0.2x+0.5=-0.1x-0.4 小数のまま計算することもできますが、方程式の場合は、両辺に同じ数を掛けてもいいのでしたね。なので、 1010 倍して、整数の形にしてから計算したほうが楽でしょう。両辺に 1010 を掛けると2x+5=x4 2x+5=-x-4 となります。このほうが、計算しやすいです。
0.2x+0.5=0.1x0.42x+5=x42x+x=453x=9x=3\begin{align*} 0.2x+0.5 &= -0.1x-0.4 \\[5pt] 2x+5 &= -x-4 \\[5pt] 2x+x &= -4-5 \\[5pt] 3x &= -9 \\[5pt] x &= -3 \\[5pt] \end{align*}と求められます。

分数を含む方程式

係数に分数を含む方程式を考えてみましょう。14x+12=14x+32 \frac{1}{4}x+\frac{1}{2}=-\dfrac{1}{4}x+\dfrac{3}{2} これも、分数のまま計算することもできます。しかし、小数のときよりもさらに計算が面倒になりそうですね。方程式は両辺に同じ数を掛けてもいいので、分数が残らない形にしましょう。出てくる分数の分母を見れば、最小公倍数の 44 を掛ければいいことがわかるでしょう。こうして、次のように計算します。
14x+12=14x+32(14x+12)×4=(14x+32)×4x+2=x+6x+x=62x=2\begin{align*} \frac{1}{4}x+\frac{1}{2} &= -\dfrac{1}{4}x+\dfrac{3}{2} \\[5pt] \left(\frac{1}{4}x+\frac{1}{2}\right)\times 4 &= \left(-\dfrac{1}{4}x+\dfrac{3}{2}\right)\times 4 \\[5pt] x+2 &= -x+6 \\[5pt] x+x &= 6-2 \\[5pt] x &= 2 \\[5pt] \end{align*}となります。もとの方程式に代入してみると、等式が成り立つことがわかるでしょう。

例題

例題
次の方程式を解きなさい。
(1) 4x+7(x2)=x44x+7(x-2)=x-4

(2) 0.8x+6=15x0.8x+6=\dfrac{1}{5}x

(3) x+26=x+64\dfrac{x+2}{6} = \dfrac{x+6}{4}

(1)は、カッコをはずして計算します。
4x+7(x2)=x44x+7x14=x44x+7xx=14410x=10x=1\begin{align*} 4x+7(x-2) &= x-4 \\[5pt] 4x+7x-14 &= x-4 \\[5pt] 4x+7x-x &= 14-4 \\[5pt] 10x &= 10 \\[5pt] x &= 1 \\[5pt] \end{align*}となります。1行目から2行目は、カッコをはずして計算しただけです。2行目から3行目は、左辺の 14-14 を右辺に移項し(両辺に 1414 を足したと考えてもいい)、右辺の xx を左辺に移行しています(両辺から xx を引いたと考えてもいい)。

(2)は、小数と分数が混じっていますが、整数だけの式になるように両辺に 1010 を掛けてみましょう。
0.8x+6=15x8x+60=2x8x2x=606x=60x=10\begin{align*} 0.8x+6 &= \dfrac{1}{5}x \\[5pt] 8x+60 &= 2x \\[5pt] 8x-2x &= -60 \\[5pt] 6x &= -60 \\[5pt] x &= -10 \\[5pt] \end{align*}となります。1行目から2行目では、両辺に 1010 を掛けています。このときに、左辺の +6+6 に掛け忘れてしまう間違いが多いので注意しましょう。なお、はじめに 1010 を掛けるのではなく、 55 を掛けて計算しても構いません。2行目から3行目では、 2x2x6060 を移行しています。

(3)は、両辺に 1212 を掛ければ、整数だけの式になります。
x+26=x+64x+26×12=x+64×122(x+2)=3(x+6)2x+4=3x+182x3x=4+18x=14x=14\begin{align*} \dfrac{x+2}{6} &= \dfrac{x+6}{4} \\[5pt] \dfrac{x+2}{6}\times 12 &= \dfrac{x+6}{4}\times 12 \\[5pt] 2(x+2) &= 3(x+6) \\[5pt] 2x+4 &= 3x+18 \\[5pt] 2x-3x &= -4+18 \\[5pt] -x &= 14 \\[5pt] x &= -14 \\[5pt] \end{align*}となります。もしこれを分数のまま計算するなら、次のようになります。 x+26=x+64x6+26=x4+64x6x4=64262x3x12=18412112x=1412x=14\begin{align*} \dfrac{x+2}{6} &= \dfrac{x+6}{4} \\[5pt] \dfrac{x}{6}+\dfrac{2}{6} &= \dfrac{x}{4}+\dfrac{6}{4} \\[5pt] \dfrac{x}{6}-\dfrac{x}{4} &= \dfrac{6}{4}-\dfrac{2}{6} \\[5pt] \dfrac{2x-3x}{12} &= \dfrac{18-4}{12} \\[5pt] -\dfrac{1}{12}x &= \dfrac{14}{12} \\[5pt] x &= -14 \\[5pt] \end{align*}もちろん、同じ結果が得られます。しかし、複雑な計算となってしまうので、オススメはしません。整数の形にしてから計算した方がいいでしょう。

おわりに

ここでは、少し複雑な一次方程式の解き方を見てきました。カッコのあるものは、外してから計算します。小数や分数を含んでいるものは、整数の形にしてから計算すると、間違いが少なくなるでしょう。

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