【標準】一次方程式の利用(前年比)
ここでは、一次方程式を利用して解く問題を見ていきます。「前年と比べてこうだった」という内容の問題を見ていきます。
前年比に関する問題
生徒数は、前年が205人、今年が204人です。それ以外の人数はわかりません。男子も女子も、今年も前年もわかりません。こんな状況で本当に解けるのか、謎ですね。
「今年の男子生徒は何人か」と聞かれているので、まずは、今年の男子生徒を 人とおいて考えてみましょう。そうすると、今年の女子生徒は、 人となることがわかります。
次に、前年比がわかっているので、これを利用しましょう。「男子生徒は前年から5%増えた」ことから、前年の男子生徒の人数を表してみます。
もし前年が100人で今年は5%増えたのなら、今年は105人ですね。 を掛ければ求められます。
今年の男子の人数 = 去年の男子の人数 × 1.05
なので、今年から去年の人数を求めるには、 で割ればいいですね。「今年の人数を 5%減らせば去年の人数になる」と間違ってしまうケースが多いので注意しましょう。 で割ることと を掛けることは同じではありません。
同様に、今年の女子生徒から去年の女子生徒の人数を考えます。去年から4%減ったので、去年の人数に 0.96 を掛けたものが今年の人数です。
今年の女子の人数 = 去年の女子の人数 × 0.96
なので、今年から去年の人数を求めるには、 で割ればいいです。
去年の男子、女子の人数も の式で表すことができるので、この和が204人になることを方程式で表して解いていきましょう。解答は次のようになります。計算が大変ですが、とりあえず、ながめるだけながめてみましょう。
となる。よって、今年の男子生徒の数は84人である。これは問題にあっている。
答:84人
式の1行目から2行目は、分母分子に100を掛けています。3行目から5行目は、両辺を5で割り、3を掛けています。計算が大変ですね。
ただ、もう少し簡単なやり方もあります。
別の方法を考える
もう一度、同じ例題を考えてみましょう。
先ほど見た通り、計算がすごく大変でしたね。なぜ大変だったのか見てみると、1行目の式が原因だったことがわかるでしょう。1.05や0.96で割ったため、計算が複雑になってしまいました。
もともと、今年の男子生徒の人数を とおいたので、前年の男子生徒の人数は となってしまったのですね。
そこで、逆に、前年の男子生徒の人数のほうを としてみましょう。こうすると、今年の男子の人数は と書けます。前年の女子生徒の人数は 人なので、今年の女子生徒の人数は 人となります。この和が204人となります。こうすると、だいぶ計算が簡単になります。この場合、解答は次のようになります。
となる。よって、今年の男子生徒の人数は 人となる。これは問題にあっている。
答:84人
同じ問題を解いているとは思えないくらい、計算が楽になりましたね。最後に、前年の男子生徒の人数から今年の男子生徒の人数を求めることを忘れないようにする必要はありますが、こちらのほうが簡単ですね。
前年比のように、何かを基準にした数字を扱う場合は、基準にあったものを文字で置くほうが簡単になることが多いです。この例題の場合、前年の人数を基準にしているので、前年の人数を で置いたほうが簡単になりました。割り算が掛け算になる分、計算しやすくなります。
おわりに
ここでは、前年比を関連する一次方程式の問題を見ました。聞かれているものをそのまま文字で置くのではなく、別のものを文字で置くという発想はなかなかわきにくいですね。割合を表しているときは、基準にあわせるようにすると、楽になりやすいと覚えておくと役立つかもしれません。